概要
ファルコンヘビーはSpaceXの大型ロケットで、ファルコン9の第1段コア3本を結合した構成です。中央のコアの両脇に2本のサイドブースターが配置されています。軌道への打ち上げ能力では現在世界で最も強力な運用中のロケットであり、低軌道(LEO)へ63,800 kg、静止トランスファ軌道(GTO)へ26,700 kgを送り込めます。2本のサイドブースターは回収・再使用され、中央コアも一部のミッションでは回収可能です。
主な仕様
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 運用者 | SpaceX |
| 初飛行 | 2018年2月6日 |
| 全高 | 70 m(229.6 フィート) |
| 直径 | 12.2 m(コア+ブースター) |
| 離昇時質量 | 約1,420,788 kg |
| エンジン | マーリン1D × 27基(第1段)、マーリン・バキューム × 1基(第2段) |
| 離昇時推力 | 約22,819 kN(513万 lbf) |
| 低軌道(LEO)への搭載量 | 63,800 kg |
| GTOへの搭載量 | 26,700 kg |
| 火星への搭載量 | 16,800 kg |
| 再使用性 | サイドブースターは再使用可能、中央コアは条件により再使用可能 |
| 射場 | LC-39A、ケネディ宇宙センター(フロリダ州) |
飛行の歴史
2018年2月のファルコンヘビー初飛行では、イーロン・マスク個人所有のテスラ・ロードスターを太陽周回軌道へ送り出したことで広く知られています。この実証飛行は成功し、2本のサイドブースターがケープカナベラルに同時着陸しました。現代のロケット開発史における最も象徴的な場面のひとつです。
2026年4月の12回目の飛行時点で、ファルコンヘビーはミッション成功率100%を維持し、ブースター着陸も16回連続で成功しています。主なミッションには、米国の安全保障ペイロード(USSF-44、X-37B宇宙往還機を搭載したUSSF-52)、通信衛星Arabsat-6A、NASAの小惑星探査機プシケ、木星の衛星を目指すNASAのエウロパ・クリッパー、NOAAの気象衛星GOES-19、ViaSat-3 F3などがあります。米国の軍事・情報関連で最も重いペイロードを打ち上げられる、現在唯一の運用中ロケットです。
ファルコンヘビーとファルコン9の違い
ファルコンヘビーは ファルコン9 の第1段コアを3本使用します。サイドブースターには通常、飛行実績のあるファルコン9のブースターが使われ、中央コアは強化された専用仕様です。第2段はファルコン9と同一です。ファルコン9の能力(低軌道へ約22,800 kg)に収まるペイロードにはファルコン9単体が使われ、ファルコンヘビーはそれを超える重量や、高エネルギー軌道への直接投入が必要なミッションに限って使用されます。
今後の展望
ファルコンヘビーは最終的に スターシップに置き換えられる見込みです。スターシップは完全再使用でありながら、はるかに大きな打ち上げ能力(低軌道へ150,000 kg超)を備えます。ただしファルコンヘビーは現在も現役で、少なくとも2028年までは米政府・商業ミッションの多数の予定を抱えています。その中には、土星の衛星タイタンを目指すNASAの回転翼探査機ドラゴンフライ(打ち上げウィンドウは2028年7月開始)も含まれます。